人間の愛憎、承認欲求、そして共依存といった歪な関係性を生々しく描き、SNSや漫画レビューサイトでも多くの読者の心をざわつかせている話題作「みいちゃんと山田さん」。

東北(宮城)と思われる薄暗い殺害現場。
横たわる彼女の傍らに、ポツンと不自然に残されていたのが、本作の最大のキーアイテムである「ペンチ」でした。
- 「あのペンチは犯人が現場に忘れていったもの?」
- 「凶器として使われたの?」
- 「結局、みいちゃんを殺した真犯人は一体誰なの?」
ネット上でも、このペンチを巡る読者の考察が白熱していますね。
今回は、作中で描かれた「ペンチの持ち主の移動ルート」を整理し、現場に残されていたペンチが意味するもの、そして真犯人の正体について深く考察してみました。

一つの考察として、楽しんでいただければと思います。
【併せて読みたい!みいちゃんと山田さんの記事はこちら】

「みいちゃんと山田さん」現場の「ペンチ」は犯人の遺留品なのか?
一般的なミステリー漫画やサスペンスのセオリーからすれば、「事件現場に落ちている不自然な道具=犯人が持ち込んだ遺留品、もしくは直接の凶器」と考えるのが自然です。
そのため、連載当時のコメント欄などでも「犯人が現場にペンチを残していった」と推測する声が多数挙がりました。
しかし、「みいちゃんと山田さん」という作品は、そういった単純なミステリーの枠には収まりません。
物語を注意深く読み返していくと、この現場のペンチには読者の予想を裏切る複雑な「移動ルート」が存在していたことが判明します。
現場のペンチは、決して「犯人が突然持ち込んだもの」ではなかったのです。
「みいちゃんと山田さん」で描かれたペンチの移動ルートを解説
現場のペンチは、そもそも一体誰の所有物だったのか?
作中の描写を時系列で追っていくと、このペンチは複数の人物の手に渡り、まるで呪いのバトンのようにみいちゃんの元へと引き寄せられていることがわかります。
移動①:店長から山田さんへ
物語の中でこのペンチが最初に登場したのは、日常の何気ないワンシーンでした。
店長がアクセサリー(ピアスやイヤリングなど)をリメイク・改造するために出してきた工具箱の中にあったものです。
現場に落ちていた不気味なペンチと、この時店長が使っていたペンチは、形状や特徴から同一のアイテムとして描かれています。
そして、このペンチは店長の手から山田さんの元へと渡ることになります。この時点では、ただの「日常的な工具」に過ぎませんでした。
移動②:山田さんから「みいちゃんの荷物」へ
ここが、事件の謎を解く最大のポイントです。
山田さんとみいちゃんのルームシェア生活は、みいちゃんの自堕落さや山田さんのコントロール欲求が衝突し、徐々に限界を迎えていきます。
山田さんは次第に精神的な余裕を失い、みいちゃんに対する当たりも冷酷なものへと変わっていきました。
そしてついに決定的な破綻を迎え、ルームシェアを解消。
みいちゃんは逃げるように、地元である宮城へと帰ることになります。
その別れ際の荷造りのシーンで、山田さんはみいちゃんのダンボール(荷物)の中に、あの「ペンチ」を無造作に入れているのです。
結論:最終的に現場のペンチは「みいちゃん自身の持ち物」
この一連の描写から導き出される結論は一つです。
殺害現場に落ちていたペンチは、犯人が外部から持ち込んで残していったものではなく、「みいちゃん自身が東京から宮城へ持ち帰った荷物の中に入っていたもの」である可能性が極めて高いと言えます。
犯人がみいちゃんの荷物を漁ってペンチを放り出したのか、それとも抵抗して争った弾みで荷物から飛び出したのか、詳細な状況は描かれていません。
しかし、「ペンチの持ち主=外部から来た犯人」という単純な構図ではないことが、この事件の闇をより一層深くしています。
なぜ山田さんはペンチを荷物に入れたのか?その心理を考察
そもそも、なぜ山田さんは別れ際に、みいちゃんの荷物の中にペンチを紛れ込ませたのでしょうか。
そこには山田さんの歪んだ心理が隠されていると推測できます。
無意識の嫌がらせ説: 自分の思い通りにならなかったみいちゃんに対する、最後のささやかな腹いせ。「お前の荷物に不要なゴミ(重い工具)を混ぜてやる」という、陰湿で子供じみた悪意の表れ。
「繋がり」を残したかった説: 表面上は冷たく突き放しつつも、自分の所有物であったペンチを忍ばせることで、無意識にみいちゃんとの「繋がり」を断ち切りたくなかったという共依存の末路。
狂気の萌芽: この時点で既に山田さんの精神は正常な判断力を失っており、後述する殺害計画の布石として意図的に仕込んだというサイコパス説。
いずれにせよ、山田さんの手によってみいちゃんの荷物に入れられたペンチが、最終的に彼女の死の傍らに寄り添うことになったという事実は、非常に皮肉で恐ろしい伏線回収だと言えます。
みいちゃん殺害の「真犯人」は誰なのか?4つの有力考察
現場のペンチがみいちゃんの所持品(山田さんが入れたもの)だったと仮定した場合、みいちゃんを殺害した真犯人は誰なのでしょうか。

現在、読者の間で有力視されている考察を4つに分けてまとめました。
考察①:山田さん(ストーカー・完全犯罪説)
最も恐ろしく、かつ伏線が繋がっているのが「山田さん自身が犯人」という説です。
彼は物語中盤から、液タブを壊されたことで殺意を覚えるような描写や、ヒステリックに豹変する一面を見せるようになっていました。
みいちゃんを宮城に帰したあと、彼女への執着から後を追い、彼女を手にかけたのではないか?という考察です。
凶器になり得るペンチをあえて事前に荷物に仕込んでおくことで、自分の遺留品として疑われるのを避けた「計画的な犯行」だったとすれば、背筋が凍る展開です。
殺害後にシレッとお墓参りに来ている姿も、サイコパスとしての不気味さを際立たせています。
考察②:マオくんタイプの「搾取する男」(新たな依存先)
みいちゃんは、自分より弱い立場の人間にだけ強気になり、暴力を振るったり搾取したりする「マオくん」タイプのような男性に引っかかりやすい性質を持っています。
宮城に帰った後、精神的に不安定な彼女が再びそういった悪意ある男性に依存してしまい、最終的に暴力の末に命を落としてしまったという説です。
みいちゃんの「被害者体質」が引き起こした、最も現実的でやりきれない結末と言えます。
考察③:宮城(地元)の因縁や家族関係のトラブル
殺害現場が東京ではなく東北(宮城)であったことも見逃せないポイントです。
みいちゃんが東京に出てきた理由には、彼女の複雑な家族関係や過去のトラウマが絡んでいました。
地元に戻ったことで、過去の人間関係のトラブルに巻き込まれた、あるいは家族間の壮絶な諍いの末に殺害されてしまった可能性も十分に考えられます。
考察④:全くの第三者による通り魔的犯行
みいちゃんが心霊スポットのような人気のない場所にいた理由も含め、運悪く全く関係のない第三者の通り魔的犯行に巻き込まれたという説です。
しかし、本作の綿密な心理描写や因果応報的なストーリーテリングを考慮すると、全くの無関係な人物が犯人である可能性は低く、やはり彼女の人間関係に起因する事件であると考えるのが自然でしょう。
まとめ:ペンチは「断ち切れない呪い」の象徴
漫画「みいちゃんと山田さん」における、殺害現場のペンチと真犯人についての考察まとめです。
- 殺害現場のペンチは、犯人が持ち込んだものではなく、山田さんがみいちゃんの荷物に仕込んだもの。
- 「店長 → 山田さん → みいちゃんの荷物」という不気味な移動ルートを辿っている。
- 真犯人は未だ謎に包まれているが、「山田さん犯行説」や「新たな搾取男による犯行説」などが有力視されている。
アクセサリーを作るための繊細な道具だったペンチは、山田さんの手によって悪意(あるいは執着)へと形を変え、みいちゃんの最期の場所に立ち会うことになりました。
ペンチは本来「何かを曲げたり、切断したりする」ための道具です。
しかし、山田さんとみいちゃんの歪な関係性だけは、どれだけ離れても断ち切ることができなかったという、絶望的な暗喩(メタファー)のようにも感じられます。
真犯人の正体が明確に明かされる日は来るのか?

人間の心の深淵を覗き込むような「みいちゃんと山田さん」の今後の展開(あるいは過去編のさらなる深掘り)から、まだまだ目が離せません。



コメント